水辺の安全と環境、そして人材育成
活動報告ここ10年間の動き
2013年からのこの10年は、2011年の東日本大震災から徐々にではありますが舟艇の利用をはじめ、水辺への回帰がみられるようになってきました。
しかし、国内のマリンレジャー人口やマリンレジャー市場は縮小傾向にあり、ボートオーナーの高齢化や、船舶の老朽化に伴い維持管理が困難になったことによる売却・処分の増加や水辺の痛ましい事故の報道は相変わらず後を絶たず、水難事故も国際的な問題となっており、WHO(世界保健機関)では世界で年間37万人余りが溺水で命を落としていると警鐘を鳴らし、水辺の安全対策に対する問題意識が高まっていました。
2015年からは、国連サミットで採択されたSDGs「Sustainable Development Goals・日本語では持続可能な開発目標」の略称により、世界の経済や環境、社会の課題が幅広く取り上げられ、持続可能な社会を築き上げるための目標が17立てられました。当財団では、特にその中から3番の「すべての人に健康と福祉を」を始め、4番の「質の高い教育をみんなに」や13番の「気候変動に具体的な対策を」、14番の「海の豊かさを守ろう」に焦点を合わせ、事業計画やホームページ、名刺などにも掲載し積極的に取組んできました。
2019年の新型コロナウィルス感染症によりマリンレジャー業界も影響を受け、イベントなどの参加人口や市場規模が縮小しました。
そのような中、コロナの感染リスクを避けるため、屋外でのレジャーが人気を博し、アウトドアブームが起こり、特にマリンレジャーでもモーターボートや水上オートバイ等のプレジャーボートの免許を新規取得する方が増加しました。
また半面、2022年のロシア・ウクライナ戦争や急な騰落率の為替相場、原油高騰などの影響で、プレジャーボート等の需要が高まり、価格が高騰しました。
そんな中、自分でプレジャーボートを所有するのはハードルが高いことから、レンタルサービスが充実し、気軽にプレジャーボートやマリンレジャーを楽しむことができるようになり、船舶免許さえ取得できれば気軽に利用ができる仕組みが整ってきました。
このような背景のもと、当財団では、「日本の水辺環境の『進化』と『親化(しんか)』」を合言葉に、より多くの人々に安心して水辺に親しむことができるよう、水辺の安全性の向上に係るマリンレジャーや溺水事故防止に重点を置きつつ、SDGsに基づく地球規模の環境への配慮及び節約を図り、次世代の人材育成に取組むことで効果的に事業を遂行してきました。
Activity
水辺の楽しいアクティビティを提供するため、「だれでも・いつでも・どこでも」安全、快適に水辺の余暇を楽しめるよう、関係官庁・自治体・公益団体等との連携のもと、指定管理施設を始め、全国の水辺や小学校から大学などの教育機関において、SDGsを意識した海洋実践学習や安全教室、体験型イベントを開催し、広く一般に対して海事思想の普及を図ってきました。
Education
水辺におけるルールの徹底とマナー向上に取組むために、指定管理業務施設の他、ボートレース場において水上オートバイのルールやマナー、水上における安全意識と操縦技能の向上に重点をおいた免許取得講習会や水上オートバイを使用した操縦技術及びレスキュー技術の普及拡大を図ってきました。また海事産業の将来的な活性化のため、次世代の担い手たる海洋関係の学生や団体等に対する人材育成のための教育を実施してきました。
Management
水辺の施設を管理運営するために、水辺利用を主たる目的とした大阪府営二色の浜公園、マリンスポーツパーク・浜寺(大阪府立漕艇センター)、新潟県柏崎市みなとまち海浜公園の管理業務を通じ、利用者に対してルール・マナーの啓発を行い、施設の適正な運営管理を行ってきました。また2016年から神奈川県横須賀市の深浦及び浦賀ボートパークにおける管理者として指定を受け、施設利用者に対する安全指導や地元自治会と協働した自然観察会、地域住民を対象としたイベントなど、地域及び施設の活性化を大切にした管理運営業務を開始しました。
2022年からは、神奈川県横須賀市のうみかぜ公園及び海辺つり公園における管理者として指定を受け、マリンスポーツや海釣り、多様な過ごし方が楽しめるよう、施設の適正な維持管理や運営に努めるとともに、園内便益施設の充実や、公園の特色を活かした様々なイベントを開催し、多くの市民が横須賀の海に親しみ憩える公園づくりを目指しスタートしました。
当財団が現在委託を受けている施設
■ 横須賀市立ボートパーク(深浦及び浦賀)
■ 横須賀市うみかぜ公園及び海辺釣り公園